最後の結婚式

最後の結婚式

◆400文字

 これが、最後の結婚式。
 私はバージンロードを一歩一歩、噛みしめるように歩いていく。
 この道を歩くのは初めてじゃない。正直に言うと三度目だ。
 それでもいいと言ってくれた夫は、本当に優しい人だと思う。

 祭壇に近づくと、青い目をした神父が微笑む。
 私は嬉しくなり、微笑みを返した。
 夫は初めての結婚式だからなのか、とても緊張している。
 年甲斐もなく、腕まで震えているし、耳まで紅い。

 かわいい人だ。

 最後の結婚式にふさわしい人。私には十分すぎるほどだ。
 やさしいうえに、体まで弱いなんて本当にありがたい。

 三度目の保険金で、残りの人生は楽しく過ごすつもりよ。

 神父が隠れて目くばせをしてくる。わかってる。またあとでね。


この作品は「ショートショートnote」を使用して執筆しています。

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