◆実話怪談
◆1,000文字
女の子の秘密
沖縄県に住む友人の翔子から聞いた話。
翔子がまだ専門学生だった頃、仲の良かった友達4人で遊ぶことになった。なかなか遊ぶ場所も決まらず、結局美幸という子の家で宅飲みをすることになったそうだ。
当時、翔子には彼氏がいたので、友達と飲むことを報告し、念のため美幸の家の場所も彼氏に教えた。
すると、彼氏はなぜか訝し気な表情をしている。浮気を心配されているのかもしれないので、念を押すように女友達しかいないことを伝えた。彼氏は宅飲みを許可してくれたのだが、翔子はその彼氏の表情が気になっていたそうだ。
美幸の家に集まり、宅飲みも進む。夜中にもなると美幸は酔い潰れてしまった。酒が弱かったらしく、そうそうに寝ていたらしい。
3人がちびちびと飲み会を続けていると、急に電気がチカチカと明滅を始めた。
「うわ、蛍光灯切れかけなの? どうする?」
3人が不安そうに電気を見つめていると、――ブツンと電気が消える。
その時、翔子は急になにかの気配を感じた。その気配のもとは、美幸が寝ている先の押し入れからだった。どうやら他のふたりも同じように感じたようで、心細い外の灯りを頼りに押し入れをじっと見つめる。
すると、誰もいないはずなのに、押し入れの扉がガタガタと動く。ネズミ……にしては大きい気がする。
「ね、なんかいるよね」
「怖いんだけど」
「……開けてみる?」
暗闇のなかで、得体の知れない何かがいる恐怖より、その正体を見破って安心したいという気持ちが勝ってしまった。ガタガタと震える押し入れに指をかけ、スーッと開く。
押し入れのなかには、青白い肌をした子どもが体育座りをしていた。
顔は腕と膝のなかに埋めているので、見えない。だけど、直感的に「男の子だ」と翔子は感じたらしい。
ほかの友人もその子どもが見えていたらしく、急いでその家から逃げ出した。結局、外が明るくなるまで3人は近くの漫画喫茶で時間を潰したとのことだ。
朝方、翔子の彼氏が迎えに来てくれた。未だに怖かった翔子は誰かに話しを聞いてほしくて、彼氏にこのことを話した。すると、彼氏からは「やっぱりね」という意外な答えが返ってきたそうだ。
「子どもでしょ? 実は、あのアパートで俺の友達も似たような体験をしてるんだよね……。怖がらせたらいけないと思って話してなかったんだけど。有名だよ。押し入れで亡くなった子どもの話……でもまさか、アパートだけじゃなくて、部屋も同じなんてね」
以降、美幸の家で集まることはなかったそうだ。
翔子は話し終えると、「ね、その時の彼氏最悪だと思わない? 普通言うよね」と、当時のことを思い出して腹を立てていた。
「その美幸って子には、押し入れの子どものこと話したの?」と私が問うと、翔子は声を大きくして否定した。
「言えるはずないじゃん! 美幸だけ置いて逃げたのに、薄情だと思われちゃうから」
美幸さんは、学校を卒業するまでその家に住んでいたそうだ。
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