【感想】「余命 最後の日に君と」を読んで、余命ものについてあれこれ考える

余命 最後の日に君と

「余命もの」の短編小説を5編集めたアンソロジー本。

余命を隠したまま恋人に別れを告げた主人公の嘘に涙する(『優しい嘘』冬野夜空)、命の期限が迫る中、ウエディングドレスを選びにいくふたりを描く(『世界でいちばんかわいいきみへ』此見えこ)、大好きだった彼の残した手紙がラスト予想外の感動を呼ぶ(『君のさいごの願い事』蒼山皆水)、恋をすると寿命が失われる病を抱えた主人公の命がけの恋(『愛に敗れる病』加賀美真也)、余命に絶望する主人公が同じ病と闘う少女に出会い、希望を取り戻す(『画面越しの恋』森田碧)――今を全力で生きるふたりの切ない別れを描く、感動作。

Amazon商品ページより

余命ものは根強い人気がある。
スターツ以外の出版社も余命ものを出しているのをよく見ます。

そんなわけで、とにかく作品の数を読んで雰囲気や傾向を知りたかったので本書を購入しました。

個人的には余命ものの作品を避けがちだったので実際どのようにストーリーが展開されていくのかわからない部分が多かったのです。ぶっちゃけ有名なキミスイすら読んだことがない…()

そんなわけで、勉強させてもらおうと思った次第です。

『優しい嘘』冬野夜空さん

独特な文体と文章のリズムだと思った。主人公の性格と合っていていい。物語の設定は余命にくわえてタイムリープ、心臓移植と設定が凝っている。少し複雑な設定なので、短編ではなく長編で読めばもう少しキャラクターを掘り下げられた気もするし、より感動できるとは思った。短編集だからこんなこと言ったら元も子もないんだけど。笑

『世界でいちばんかわいいきみへ』此見えこさん

主人公の男の子のキャラがいいなぁ。まっすぐに「かわいい」って言ってくれる男子っていい気がする。ラストは残されたものが前向きな気持ちに。ただ悲しいだけでなく明るい読後感にするのが大切なのかも。言葉の力というものを感じさせる作品。

『君のさいごの願い事』蒼山皆水さん

手紙を読む形で進行していく。結末が最初に想像していたものとは違うかったので、驚かされた。余命ものでこんな大団円のような形で構成できるのはすごい。余命ものの物語はありふれているからこそ、設定や展開は工夫しないといけないのかも。この作品はどんでん返しのような味があって好きだった。アンソロジー本だからこそ、この作品があるおかげで本全体が引き締まった感じがする。

『愛に敗れる病』加賀美真也さん

すごくドラマティックな作品。命に関わる病気は「愛敗病」というオリジナルの病気。ここで気づいたけれど余命ものって病気をはっきり明言しないのが主流っぽい。辻褄が合わなかったり、病気の当事者を傷付ける可能性があるからだろうか。自分も介護福祉士だから一般医学は学んでるけど、病名出しててあまりにも変なこと書いている小説は正直気になっちゃうもんな……。話を戻す。この作品は短編集のなかで唯一オリジナルの病気で物語を作っている。主人公は無気力なんだけれど、それは病気を進行させないためで…というもの。そのなかで、ある少女と出会って自分を変えていく。「どう生きるのか」を問われるような物語だった。登場人物を応援したくなる作品。

『画面越しの恋』森田碧さん

主人公の性格にやきもきするんだけど、面白かった。ブログを通じて出会う同じ難病患者。画面越しの関係を続けることで、余命宣告を受けた主人公は変わっていく。主人公が残される側の気持ちに気づき、学び、また前を向こうとする終わり方が良いと思った。余命ものという設定のなかで読後感を最高によくするのは難しいのかもしれないが、この作品は未来を繋いでいくような結末だった。前を向いて、また毎日を歩いていこうという気持ちにさせてくれる。素敵な作品。

個人的には5作品のなかでは『愛に敗れる病』『画面越しの恋』が特に好みでした。
登場人物が死んでしまうという設定のなかで、どの作品も様々な工夫がされていた。
あと、男主人公が多いんだなと思った。これは他の余命作品でもそうなんだろうか。

他の余命ものもまた読んでみます。

著:冬野 夜空, 著:森田 碧, 著:此見 えこ, 著:加賀美 真也, 著:蒼山 皆水
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